EDO RIVERを漂いながら

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相変わらずカーネーションと九段会館とその周辺をうろついてる、日常と私の思い。moonriders.netの中の鈴木慶一さんの日記(「鈴木慶一の暮らしの手帖」12/12付)を読み、またじーんとしてしまう。『カーネーションは3ピースになった直後も見たが、大変な勇気だと思う、今までとまったく違った楽器編成で音楽に取り組むという事は。そして骨太の音を紡ぎ出す、いいバンドという事をキープしている。』と。日本の音楽シーンで一番長くひとつのバンドを続けている慶一さんからのこの言葉は、カーネーションの3人にとってきっと何よりの賛辞だろう。メンバーこそ替わらないものの、この30年近く自分たちの求めるもののためにならいくらでも変化し続け、そのたび悪態つかれたり友だちなくしたりしてきたのがムーンライダーズだ。「続ける」ことのために、「変わる」ことを恐れ始めたら、それはもうロックじゃない。傷付いても泥だらけになってもどんなにカッコワルくても、転がる石であり続ける覚悟と背中合わせでしか、誰にも届かない表現の高みへと駆け登ることはできないのだろう。だから私は、ムーンライダーズがカーネーションが好きなんだ。カッコワルくあがき続けてちっともスマートなんかじゃない彼らの泥まみれのロック魂が。

昨日今日あたり頭の中を駆け巡ってるのは「EDO RIVER」。あの華奢な身体の大野由美子さんが、ワイルドにシンセを操ってた姿が鮮やかによみがえる。実は私がカーネーションのアルバムをリアルタイムで買ってた覚えがあるのはこの前の「天国と地獄」までで、「EDO RIVER」は買ったかもしれないけれど当時聞きこんだという記憶がない。94年、そう、その頃私はもう個人的な音楽大空位時代に足突っこんでたんだな。今聞けば、名曲揃いのとんでもないアルバムなのにね。ほんと、こんなんでカーネーション好きと言うのは憚られるぐらい、ファンの風上にも置けない愚か者だけれども、でもそのずっと風下で、またこうしてふわりと巻き込まれることもできる、その自由さと懐の深さがカーネーションなんだ、きっと。

鳥羽さんギタリスト時代のカーネーションをナマできっちり追いかけられていない、そんな私だから、いろいろな人が「(ライブで)ない音をつい探してしまった」と振り返っている、5人から3人へのメンバーチェンジ時の「喪失感」は、想像するしかない。でも、それは痛いぐらいリアルに想像できる喪失感だ。その打つ手もなさそうなほどの底知れない不在を、小手先の技術や理屈で手当てするんじゃなく、ただ3人で音を鳴らし続けることで乗り越え、乗り越えるどころかとんでもないスリーピースバンドに成り変わるところまでカーネーションは疾走してしまった。なんてことだろう。

たった2年でそれだけのことをやらかして、そして21年目の記念碑的なイベントを迎えられたことを、本当によかったと思う。90年代半ばの多くのライブをサポートした大野由美子さんを迎えて、5人時代のカーネーション+大野さんで散々演ったであろう「EDO RIVER」を、喪失感の中でではなくロックトリオとしての揺るぎない自信とともに、九段会館の天井に放ったことが、涙が出そうに素晴らしいと思う。そして、それが痛みや苦しみの果てに3人が辿り着いた場所だと思うと、それを耳にする場に居合わせたことを、本当に貴い体験だったと感じるのだ。

*「EDO RIVER」カーネーション

この記事へのコメント

一人靜
2004年12月19日 22:04
edo river 良いですよねぇ~~。 聴きやすいし。。
今年fanになった(知ったというか、気が付いたというか)新参者では、
昔の事や5人体制!?の当時の事は知る由は有りませんが、
彼等の思い!?など少しは知る事が出来ればとfan会報のback numberを取り寄せました。(いくつかですけど)お正月、たっぷり読もうと思います。
九段の時、席が後ろで見えないので失礼?と思いながらオペラグラスで、
しっかりステージを見ていたのですが、矢部さんの眼光鋭さと良い男振りに惚れ!コンサート後半、直枝さんが歌いながら真っ直ぐこちらを見て挑む様な眼差しに怖く?も有り、また凄みを感じて目線を離してしまいました。私を見ている訳では無いけど、コンサートに掛ける凄い思いみたいなものを受け取った様に思います。忘れられない 2004.12/12 九段会館の夜でしたね♪
やっと熱下がり、明日から出勤です!!(嫌だなぁ~~)
moonlightdrive
2004年12月19日 23:13
一人靜さん、こんばんは。熱下がってよかったですね(出勤はユーウツ、ですけども…)。
オペラグラス持参は賢い。このところずっと至近距離で直枝さんを見ていたので、さすがにあの日席に着いたときは「遠~っ」と思いましたが、でもライブが始まったとたんスゴイ熱気と一体感に巻き込まれて、全然気にならなかった。と言いつつ、次はやっぱり近くで直枝さんのこと見たいなー。(←贅沢)

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