プレイリスト「MARE TRANQUILITATIS!夏秋文尚セレクション3」

相変わらず時間の隙があると、ドラマー夏秋文尚さんの叩いてるトラックを聴きまくる。あーうっとり…(←バカ)。というわけで、また作ってみる夏秋さんプレイリスト。名付けて「MARE TRANQUILITATIS!夏秋文尚セレクション3」。

「Mare Tranquilitatis(マーレ・トランキリタティス)」というのは、月面にいくつもある「海」のひとつについている名前で、日本語では「静かの海」。69年にアポロ11号が着陸したのがこの場所なんだって。月面の静かな孤独と、宇宙船の足跡。ひそやかで、静穏で、でもその底に何かが起こりそうな狂気をはらんでる。そのイメージがなんとなく、夏秋さんのドラムの音にピッタリだなーなんて思う。選んだ曲もそんな感じ、です。
画像「高原にて」SARO
(『ベランダの猫、枝の山鳩。』96年 より)
と、いきなり10分超の曲で始まっちゃうリストっていうのもどうなのか…(笑)。でもこれ、夏秋さんのドラムがめっちゃカッコイイー!のだ。「SARO」とは、ヴォーカル&キーボードの細海魚(ほそみ・さかな)さんとギター&詩の世奇音光(せきね・ひかる)さんの二人ユニット、らしい。細海魚さんは現在HEATWAVEのメンバーだよね。このアルバムで夏秋さんは2曲叩いているんだけど、どっちも、抑えぎみのドラミングから狂気がこぼれる音。歪むギターと絡み合うドラムのフレーズや、囁くようなシンバルの音、最後のほうで熱を帯びていく叩きっぷり、うー鳥肌、たまんない…。このアルバム、この2曲に限らずとにかくすべてがカッコイイ。オビ文に「プログレッシヴ・ロック」云々…って書いてあるんだけど、こういう音楽をプログレと呼ぶなら私まちがいなくプログレ好きだなー。
画像「誰か虹を見た」cornets
(『乳の実』92年 より)
メトロトロンの隠れた名盤より。淡々とした中に独特の緊迫感があるこのドラムも、とても夏秋さんらしい音だなって思う。コルネッツ、当時買ったアナログのシングル盤も持ってるなー。
画像「Time And Motion Study」青木孝明
(『PHASE FOUR』00年 より)
青木孝明さんのジャズテイストな1曲。青木さん自身の解説では“STEREO LABを少し意識したが、曲調はBYRDSのようでもある”と。夏秋さんのさりげなくも腕の立つドラム、カッコいいなー。このなんともいえないパターン、好きすぎる。川口義之さんのフルートがめちゃアシッドで妖しくていい~。
画像「砂の上のBlues」esq
(『One And Only』97年 より)
ジャズシリーズ続く。esqこと三谷泰弘さんのアルバムより。控えめなドラミングからどうしようもなくこぼれるこの狂おしさと色気、もうどうしよう…。「チチチ、チッ」っていう夏秋さんらしい繊細なシンバルの音、大好き。飯塚さんのギターもBARAさんのベースもいつになく色っぽくて参る。
画像「Free Bird」青山陽一
(『ODREL』04年 より)
もー何遍書いたんだって曲ですがまた。ドラム出てくるのはやっと曲の真ん中辺なんだけどね(笑)。それにしてもBM's歴代ドラマーの個性は聴いていてさすがと唸る、クールでシャープな矢部さんも、ガッチリと迫力モンの石坪さんも、現在の重くファンキーな中原さんもホント素晴らしい。夏秋さんが叩いてるときのBM'sは、青山さんと夏秋さん、両方のヘンテコ成分が化学反応して、あらぬ方向にいく感じが個人的に好き(笑)。
画像「ジェロニモ太郎」西村哲也
(『ヘンリーの憂鬱』00年 より)
この辺にくるともう全然静かじゃないです(笑)。西村さん曰く「ハードロック・ベンチャーズ」(笑)なギター・インスト。やー文句なしにカッコイイっす!奇をてらうことなく、西村さんの曲のハードロッキンな魅力をストレートに押し出すドラム。でも奇をてらわなくても独特の不思議な味が出ちゃうのがどうにもこうにも夏秋さんだなーと思う。
画像「うぬぼれた男」鈴木博文
(『孔雀』95年 より)
けっして饒舌ではないドラムの、シンバルの音ひとつ、スネアの響きひとつが、はらむ静かな狂気。博文さんのバックで鳴る夏秋さんのドラムは、私にとってもっとも無意識のうちにカラダの中に入ってる彼の音、かもしれない。時間も長く、量も桁ちがいに多い。
画像「わたしの名前はあなたの名前」さねよしいさ子
(ライブアルバム『カナリア!』06年 より)
前にもココで書いたけど。いさ子流ゴシックとでも言うべきいわくありげな音世界をそのまま予感させるような、イントロの不穏なドラムからして素晴らしい。徐々にテンションを上げていく演奏の、行き着く場所の凄まじさったら、ちょっと想像を絶する。
画像「PARALLEL」チューインガム・ウィークエンド
(シングル『GLORIA』00年 より)
またかと言われそうだけど(笑)チューインガム・ウィークエンド。私が(ずっと後追いなくせに)ヒトゴトじゃないみたいにこのバンドを好きなのは、ボーカリスト、ギタリスト、ベーシスト、ドラマー、この4人の持つ狂気が4人とも、ひそやかで静かだからなんだと思う。たたずまいが孤独なぶん、致命的に深く刺さってくる。淡々と鳴るドラムとシンバル、その音がどれだけクレイジーで危険か。
画像「Dear」fragments
(『My Room Is Delicious Vol.2』02年 より)
あーもう、これもものすごく狂ってる!イントロダクションのあと入ってくるドラムのカッコよさ、マジ参る…。fragmentsこと鈴木淳さんは今、the pillowsのサポートベーシストとして活躍中。このCDは前に夏秋さんプレイリスト1の10曲めで紹介したコンピレーションの「vol.2」。ジャケ、まったく同じに見えるけどちがうんだよ。ロゴが(笑)。
画像「WENDY」チューインガム・ウィークエンド
(シングル『ICE』97年 より)
最後もこのバンドで。私がどうしてもプレイリストにチューインガム・ウィークエンドを入れがちな理由がわかった、チューインガムのCDって、もれなくドラムの音がデカイんだよ(笑)。もー最高。個人的にはつねにどんなときも、このぐらいのバランスで鳴っててほしい、夏秋さんのドラムには。あー、この曲のドラム、クレイジーで壊れてて大好き。

と、11曲。夏秋さんのドラムの中でも、静かな狂気を感じるセレクト。人柄からか、夏秋さんのドラムってわりと「そつのない」イメージが持たれてるような気がするけど、全然そんなことないと思ってる。底を覗くと、すごく狂ってて壊れてる。それは表に見えないことも多いけど(目立つパフォーマンスとかしないしね・笑)、狂気を内に隠し持っているそのことが、夏秋さんのドラムの抗いがたい魅力になってるのはまちがいない。言葉少ななのに、激しく、凄まじい。まして、その狂おしさがふと表にこぼれちゃったりすると、もう、こっちは熱出して寝込みそうになるしかありません…。

でもね、夏秋さんのいちばん底知れないドラムが聴けるのは、実は「今のジャック達」だと思う。最後に観た8月のライブでつくづくそう思った。だから、ジャック達ファンとしても夏秋さんのドラムのファンとしても、次のライブを、そしてセカンドのリリースを、ただひたすら待ってるのだ。


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