The End Of Summer

画像たぶんそれは博文さんのライブ盤で若い彼らの演奏と直枝さんの声を聴き返しちゃったせいだと思うけど、ふだんなら思い出しもしないようなナンバーなのに「防波堤のJ」の直枝さんのタメイキのようなボーカルが頭の中を巡り出して止まらなくなり、昨日は久しぶりに『Young Wise Men』を聴いて、私の中の“なにか”をたしかめて眠りについた。そしたら、今朝起きるとこんどは「The End Of Summer」のリピートだ。ああ、ダメだ、私がカーネーションでいちばん好きかもしれない曲。そんなのが鳴り出しちゃったら、せつなくってさ。

それで、♪タッタカタッタタタタタ~タッタカタッタタータタ♪とアルプス一万尺のイントロ口ずさみながらおべんと作って子どもたちを送り出して、そして『天国と地獄』を聴いてる。私もそうだったけど、ほかにも何人もの人たちが、このあいだ「日本のロックアルバム25選」にこのアルバムを選んでるのを見かけたっけ。

考えられないほどの重力。夏のクレイジーさとオレのどうしようもなさと青春のくだらなさを、ひとつ残らず集めて、とことん煮つめてぶちまけたような、ほんとに狂ったアルバム。こんな狂ったアルバムって、ちょっとないと思う。人をグラグラと足元から不安にさせるほどの。そして、狂気の先にうつくしさを感じるほどの。

『Young Wise Men』のアナログから聴いてた私が、リアルタイムのカーネーションのファンだったのは、このアルバムまでだ。そのあと10年ぐらい、私自身が冬眠に入ってしまったから。92年8月25日、そうか、やっぱり夏の発売だったんだね。細かな記憶はもうないけれど、このアルバムは、とにかくショックだった。それこそ、狂ったように聴いてた。

前作『エレキング』で加入した鳥羽さんのギターとサウンドの志向がこのアルバムでは全開で炸裂してるし、グランドファーザーズが解散してこのアルバムからカーネーションに入った(びっくりしたっけな…)大田さんのベースがサウンドをより重たくして、こんな傑作が生まれたんだろう。今のトリオカーネーションのすばらしさはそれとして、ここで揃った、直枝政広、矢部浩志、棚谷祐一、鳥羽修、大田譲、というこの5人、ロックバンドとしてこんなに完璧なメンバーって考えられない。これ以上のバンドってこの先もまず出てこないんじゃないかな。「日本ロック三国志」というゲームソフトでもあって(←あったらオモシロそうだ)最初に好きなメンバーをピックアップできるとしたら、真剣勝負に出るならまちがいなくこの5人を選ぶな。(ま、そこでヘンな好みとか出しちゃってボーカリストに一色進選んじゃったりするから勝負に向かないんだけどね、私…笑。)

それにしても、このありえないほどの濃度。好きな曲は…、と書き出そうとすると、ほとんど入ってしまうほどの名曲の嵐。「体温と汗」「ハリケーン」「ファームの太陽」「おはよう」「愛のさざなみ」「The End Of Summer」「地球はまわる」「天国と地獄」…青春のくだらなさとその中のちょっぴりのとうとさに一生とりつかれて逃れられないような人間は、こんな曲たちを胸に抱きしめたまま生きてくしかないんだ。

“夏のおわりのどろどろアイスクリーム”なんて歌詞にどろどろにされちゃってからもう15年も経って、私だってカーネーションだっていいオバさんとオジさんになったはずなのに、結局何も変わってやしない。今もずっと“最低な青空”に呼ばれっぱなし。最低な青春、最低な毎日の真ん中でへとへとになって、それでも、相変わらずくだらない“なにかひとつ”を信じようとしてる。

バカげてるけど、でも、そこにしか、ほんとのことなんてないのさ。


*『天国と地獄』カーネーション

この記事へのコメント

けすいけ
2007年08月09日 14:38
テレビ画面には高校球児が汗と泥まみれ、扇風機の生ぬるい風に当たりながらヘッドフォンで大音量で聴く『天国と地獄』、ますますしたたる汗でTシャツが背中にべったりへばりついてる・・・あれ?このシーン前にも見たことあるぞ。どうやらこれが僕の夏の風物詩みたいです。
頭に“日本の”が付かなくても、ロック史上に残る大大大傑作!聴き手のことなんか全く考えず、とにかく自分達が最高だと信じる音楽を一心不乱に突き詰めた最強に音楽愛に満ちた作品。ただ、その愛は過剰すぎてめちゃくちゃ歪んでるのがまさにカーネーション、だから好き。これはもう芸術の域でしょう。こんなの思春期に聴いちゃったら、そりゃあ人生狂うっつうもんです(笑)。そして、相も変わらず“最低な青空”にロマンを感じてしまう僕です。それにしても、こんなに凄い作品が未だカーネーションファンしか知らないという状況はいかがなものか?もういい加減、誰かきちんと評価して欲しいものです。
あ、遅くなりましたが、moonlightdriveさんご無沙汰しております。久しぶりでいきなりの長文、すみません。ジャック達『HILAND』楽しみだぁ!
moonlightdrive
2007年08月09日 16:16
おっ、けすいけくん!お久しぶり~、コメントありがと!!!!
元気?きっと元気だよね。だって相変わらずなけすいけ節(笑)、そうそう、これでなくっちゃ。けすいけくん夏になると高校野球の話とカーネーションの話してるよね、埃っぽさと汗くささ120%、ふふ、いいなあ。なんかね、カーネーションの音に中てられて、最低な青空の下を意味もなく駆け出したい気分!この最低で最高な意味のなさと過剰で歪んだエネルギーこそがカーネーションなんだろうな。
ジャック達『HILAND』いよいよだよ、誰よりけすいけくんに聴かれたがってる曲たち!もうジャック達祭りが始まったら、月ドラのコメント欄に住むぐらいの勢いで入りびたってよー。ま、けすいけくんはまちがいなく「3000枚以上の部」の人だと思うけど(笑)。元気にしててね、そしてまたフラッと現われてね。
あや
2007年08月09日 20:50
ちょっと最近コメントしすぎだなぁと思って自粛してました。けど私、コメント欄に住む~~!
ここ読んで久しぶりに聴きましたよ、『天国と地獄』。(実は私、ずうーっと MUSEMENT 漬けだったもので、直枝さんの声久しぶり・・・)。「さざなみ」~「The End Of Summer」で我慢できなくなって再びコメントしにやってきました。ああ、もうすぐライブだなぁ、長かったなぁ、楽しみだなぁ。ツアーだから絶対この中から何かやるだろうなぁ。何やるかなぁ・・・。てごめん、最近人のとこのコメント欄でばかり語っておるよ。
しかしホントにこのアルバム、好きな曲って言われてひとつ選べないよね。・・・私も今、何か1曲選ぼうとして手が止まっちゃった。ああーー一気にカーネーションモードに突入です。テンション高くてゴメン(笑)。
Sugar
2007年08月09日 23:53
このアルバムそんなに好きじゃないはずなんだけどなー(笑)。

アルバム25枚選んだら、
何故か入ってるんでやんの。
不思議だが本当だ。
moonlightdrive
2007年08月10日 02:33
■あやさん
熱いコメント、ありがと!住むにはちょっと居心地悪いかもだけど(笑)、「コメントしすぎ」は大歓迎よーっ。っていうかカーネーションのファンであること自体がすでに十分過剰な状態なんで(笑)。いったん聴き出すとハマるよね~このアルバム。去年の恵比寿で「The End Of Summer」を聴いたとき、もっと前のAXで「さざなみ」(with鳥羽さん)を聴いたとき、ほんと崩れ落ちそうだったの今でも覚えてるなー。そうだ、もうすぐ久々のカーネーション月間だ、あやさん待ったよねぇ、そりゃもう思い切りテンション高くして突っ込んでかなきゃ!

■Sugarさん
どもです!誰と誰のところで『天国と地獄』見たんだっけ~と思ったら、そうそう、Sugarさんがそのひとりだ。
>このアルバムそんなに好きじゃないはずなんだけどなー(笑)。
ふふ、そんな寝込みを不意に襲ってくるのがカーネーションだね(笑)。不思議だが本当なんだね。

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