2007年 マイ・ベスト・アルバム

ずいぶんギリになっちゃったけど、今年も書いてみようかな、「2007年 マイ・ベスト・アルバム」。公平さや一般論からは離れた、ごく個人的なベスト…ね。この1年に私が手にした、ほんの限られた数の新譜の中から、3枚だけ。

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1.『HILAND』ジャック達
ここ3年ぐらい私から最大の思いを奪い続けているバンド…であることは確かなのだけど、でも、だからといって、出たアルバムを自動的にベストワンに送りこむほど近視眼では、さすがにないつもりなんだ。…と、そう呟いて、アルバムが出たそのときも、つとめてフラットにディスクを回し始めた筈だった。だけど、音を聴いた瞬間、客観も冷静も予想も思惑も軽々と吹き飛ばされて、ただまっさらな私が、そこにある音にため息をついていた。ロックの普遍の輝きと圧倒的なオリジナリティを同時に持つサウンド。この4人でなければ絶対に鳴らせない、途方もなくスケールの大きな演奏。過多な思い入れや過去の体験をまったく切り離したとしても、まちがいなく今年の私の心を最大級に奪うアルバムだったろうと思う。今や、日本の他のどのバンドもいない(海外のバンドさえ行き会うことが稀な)場所にジャック達は足を踏み入れてしまったのだな…と、「キャンセル」や「スーパーソニック・トースター」や「乙女座ダンディライオン」を聴きながらつくづく思う。
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2.『Hissing Fauna, Are You The Destroyer?』of Montreal
春先に、まさに「突然の恋に落ちた」of Montreal。これまで洋楽にハマったことのない人生で、リアルタイムの海外ミュージシャンにこれほど焦がれてしまうなんて体験、生まれてはじめてだったし、自分の陥落ぶりがあまりに見事で、いろいろな意味で驚いた。出合いの衝撃にうかされたまま、このバンドのすべてのカタログを一気に買い揃えたけれど、中でもやっぱり、1月にリリースされた最新アルバムのこれは異形の傑作。Kevin Barnesの「今」を見つめる冷徹な視線と、グロテスクなまでに皮膚感覚に迫るエロティシズムの、その交錯のただならなさに震撼とする。あーそれにしてもKevin、カッコイイな…(って結局ソレ)。来年会えるといいんだけど。
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3.『CINEMA RETURNS』シネマ
このアルバムが12月に出ると聞いたとき、じつは私は「そんなに年が押し迫った時点のリリースなら、ゆっくり聴きこんで、実際のベストアルバムエントリーに入るのは2008年分かなー」なんて、のんきに考えていたんだ。でも、それがとんでもなかったことを、すぐに思い知る。ゆっくりどころか、最初のいくつかの音がスピーカーから出た時点でもう、このアルバムが、とんでもないレベルの一枚だということがわかってしまったから。オリジナリティとは、ポップとは、グッドメロディとは、バンドアンサンブルとは…。今の音楽が別のものですり替えがちなそれらの問いへの回答を、あきれるぐらい鮮やかに、明快に、能動的に、叩き出してくれた痛快極まりないアルバム。何より、あのジャケに負けない中味ってだけで、凄いよね。
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上記3枚のほかにも、たとえば『ハンナと怪物達』西村哲也、『笛社会』栗コーダーカルテット、あたりは、胸のすくような音の底にロックへの深い希求と揺るぎない気迫が感じられて、ほんとうにすばらしいアルバムだった。それは、彼らのライブで、より手に取るようにわかるのだと思った。鈴木博文さんが、引き出しに眠っていた古いノートを開くかのように始動させたユニットの2枚のアルバム『Mio Fou Ⅱ』『政風会』、そこから流れ出した音のどちらもが、あまりにもヴィヴィッドで他のどこにもない独特の凄みを持っていたことにも、驚かされた。of Montreal以外にも、『I'M OK... YOU'RE OK』Jason Falknerとか、『New Magnetic Wonder』The Apples In Stereo、といった、リアルタイムの海外の新譜に出合えたのも、これまでの私にはない貴重な体験だったな。そうそう、新譜ではないけれど、夏前に私を襲ったトツゼンのYES大ブームには、心底びっくりした。まったく何が起きるかわからなさすぎるぜ、自分。いろんな音楽が今年も私をグラつかせてくれた。私からは音楽へ何もできないのだけれど、ただせいいっぱい、ありがとう、と。


そして、手のひらにそっと、とうといものを受けとった2007年。それは私の奥深くの、見えない場所に沈んで、私の強さになってくれるのだと思う。たぶん…ね。そうしなくちゃと思ってる。ほんとうに、ありがとう。


最後に、ここを覗いたり話に付き合ったりしてくれたすべての方へ。来年もどうぞよろしくね。


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