ムーンライダーズの歌心『LIVE at SHINDAITA FEVER 2018.3.31』

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4月8日に出た、ムーンライダーズのライブ盤『LIVE at SHINDAITA FEVER 2018.3.31』を聴いて感じたことを、とりとめのないままだけどちょっと書き留めておこう。やや偏ったファンなので、いつもながらドラマーへの言及多めの感想文です…。

“2018年3月31日に新代田Feverで行なわれたクローズドライヴの模様をCD化。日本のロックレジェンド、ムーンライダーズによる最新ライヴを収録!ファンからの要望に応えたオールタイムベストな選曲。”というのが、CDの宣伝文。私はこのライブに行っていないのだけれど、ムーンライダーズが、ファンクラブ活動にひと区切りつけるにあたって開催してくれたライブだって聞いてる。そんな経緯から、もしかしたらライブの当日には『次いつムーンライダーズを観られるんだろう…』というセンチメンタルな(そしてちょっぴり不安な)気分があったのかもしれないなと想像するけれど、この翌年の2019年末にはかしぶちさんのトリビュートライブ(Tribute to Mr. Kashibuchi "冬のバラ")があって、2020年にも(コロナ禍で延期にはなっているけれど)ムーンライダーズのライブが予定されているのを知っている今の私は、安心してこのCDが聴ける…!

収録曲9曲とわりあいコンパクトな中に、ムーンライダーズの「歌心」がぎゅうっと詰まってる。そう、たぶんクローズドライブという場の要請もあって、ムーンライダーズがファンに伝える「歌」の印象がとても強く心に残るライブ盤。なにしろ、(当日の実際の演奏順はわからないけれど)4曲目から9曲目まできれいにメンバーのボーカル曲が並び、慶一さんがいちいち曲終わりにメンバーの名前をコールするのだから。

「いとこ同士」で、“ムーンライダーズで最も歌わない人”の岡田徹さんの声が飛び込んできて、ドキッとさせられる。隠しカードがとんでもない攻撃力、みたいなボーカル。ロマンシング・アドベンチャー・シリーズ曲詞担当の岡田さん→博文さんと回していくところも、とてもよいな…。慶一さんの「スカンピン」、ムーンライダーズで一番古いアルバムに入るこの曲を今の慶一さんが歌う。“はじめから今まで変わらない”バンドの軌跡をワンフレームで俯瞰させるような歌声、染み入る。一転、(今のところの)最新アルバムから、鬼気迫るアレンジ&ボーカルの武川曲「弱気な不良 Part-2」。2015年の大病を経た武川さんの声はこのアルバム録音時からもまた変貌しているはずで、それを包み隠さずぶちまけるようなボーカルが胸にせまる。そう、変わり続けることこそが、結成以来のこのバンドの変わらなさなんだな…、と。良明さんの次の曲にもひたすら驚く、だって途中まで「トンピクレンッ子」だとまったく気づけないんだもん!こんなアレンジのトンピもアリなのかあ、「ムーンライダーズ」の概念はまだまだ広がるのをやめないんだな。「ギター(という声)で歌う」のが最近の良明さんの気分なのかなと、昨年のかしぶちさんトリビュートLIVEでも感じたことを思ったり。博文さんの「くれない埠頭」、イントロダクションで持ち歌の一節をつぶやくように次々歌い上げる博文さんと客席の歓声のリラックスしたやりとり、そしてアウトロを客席に歌わせて終わるのだけど、ほんとうに不思議だな、ムーンライダーズというバンドは。最近のライブずっとそうだし、このライブ盤でも所々で「みんな一緒に」とメンバーがファンにも歌えと呼びかける。ずっと前にムーンライダーズについて「音は激しくねじれていて孤高なくせに『みんなで歌える平易さ』をメンバー全員が悪くないと感じてる感覚がおもしろい」と書いたことがあるのだけど、ツンとデレの振り幅の(ますますの)過激さにファンは魅かれてしまうようなところがあるな(笑)、うまく言えないけど…。

そして、まさかのこのライブ盤いちばんの驚きがラストに残されていて、(たぶんアンコールの)「スカーレットの誓い」でドラムの夏秋さんがメインボーカルをとるという不意打ち!さらに2コーラス目に入っても、のみならずラストまで、メンバーが出てこず夏秋さんが歌いきる想定外の演出に心底驚く。岡田さんのボーカル以上のサプライズだ…。夏秋さんの歌は素直でのびやかな突破力とでも呼びたいような魅力にあふれていて、百戦錬磨のメンバーの中でみずみずしくきらめく。博文さんやくじらさんや良明さんが渾身のコーラスを添えているのも泣ける…。歌終わりに、それまでのメンバーと同じように(か、もしかするとひときわ大きい)コールで慶一さんが「夏秋文尚!」と。それにあがるファンの歓声の大きさ。ふと、この曲をいつもかしぶちさんがドラムを叩きながら歌っていた姿まで思い出されて、今回その歌をバンドがまるまる夏秋さんに託した意味の大きさに胸打たれてしまう…。

最初にこのライブ盤の発売が告知されたとき、そして実際に手に取ったとき、このジャケットデザインにもグッときてしまった。ムーンライダーズのメンバーと並列に、夏秋さんもいる。その地上の6人と共に、かしぶちさんがいるであろう月が並ぶ。それにしても…ライブ盤とはいえ、現時点でのムーンライダーズの最新カタログでのラスト曲のボーカルが夏秋文尚さん、というのは歌った人にしてみたらなかなかの重責よね…(笑)。それをよしとしたバンドの思い切りと夏秋さんへの信頼に、やっぱり勝手にグッときちゃうのだけど。

ライブ盤はいいな。とりわけムーンライダーズのライブ盤は。複雑怪奇で混沌としたアルバムの音も格別だけれど、夏秋さんのドラムが鳴っていて、少し奥のあそこから岡田さんのキーボードが聞こえてきて、左でくじらさんのトランペットが鳴って、このあたりで博文さんのベースが響き、慶一さんのギターの音が左のこの辺から襲ってきて、良明さんのギターが右から突っ込んでくる、それらをリアルに感じられるライブ盤、とてもとてもいとおしい。


ムーンライダーズの主催ライブとして3月19日に渋谷クラブクアトロで開催予定だった『moonlight jamboree #001』が、新型コロナの感染拡大の影響で、いったん延期になっている。大好きなミュージシャンがすぐそこで演奏する音をその同じ場所で生で聴ける、ということがどんなにかけがえのないことか。この大切な大切なものたちが、どうかまた私たちの手の中に戻ってきますように。その確かさを、ぎゅっと両手で握りしめられる日が少しでも早く来ますように。

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【メモ】

『moonlight jamboree #001』公演延期のお知らせ

2020年3月19日に渋谷クラブクアトロ にて開催を予定しておりました『moonlight jamboree #001』 につきまして、報道や状況を注視しつつ開催を目指しまして準備を進めて参りましたが、市中感染の可視化不能による不安の増大等を踏まえ、ご来場のお客様、また出演者の健康を守るという観点より、延期とさせていただくことを決断いたしました。
楽しみにお待ちいただいていた皆様には、大変、申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。

現在お持ちのチケットはそのまま振替公演に有効となりますので、大切に保管ください。チケットの半券は切り離さず、紛失しないようお願い致します。

日程延期に伴い、ご来場が難しくなった皆様には、払い戻しの措置を取らせていただきます。払い戻し方法につきましては下記をご確認ください。

末筆になりますが、どうぞ皆様ご自愛くださいませ。
ライヴを、音楽を、心より楽しめる日々が1日もはやく戻ってきますように。

moonriders division
https://www.facebook.com/MoonridersRecords/

<<振替公演>>
公演日時:2020年6月11日(木) 18:00開場/19:00開演
会場:渋谷クラブクアトロ
※出演者に変更はございませんが、3776につきましてスケジュールを調整中です。決定次第、皆様にアナウンス致します。

moonlight jamboree #001
出演
カイ / 佐藤優介 / 澤部渡 / 松尾清憲 / 菅野みち子&渡辺たもつ from 秘密のミーニーズ / CTO LAB. ゲスト:ようなぴ(ゆるめるモ!) / KEEPON / 3776
備考
※座席は一定数ご用意しますが、限りがございますのでご了承ください。


【メモ2】
(『moonlight jamboree』は開催見合わせとのアナウンスが、残念ながら5/22(金)に出てしまった。仕切り直しての次を、心待ちにしてます…!)

『moonlight jamboree #001』公演開催見合わせおよびチケット払戻しのお知らせ

当初2020年3月19日に渋谷クラブクアトロ にて開催を予定し、2020年6月11日(木)に延期としておりました『moonlight jamboree #001』公演につきまして、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない状況を考慮し、開催を見合わせさせて頂く事となりました。公演を楽しみにして下さった皆様には、心よりお詫び申し上げます。

同公演につきましては、コロナ禍収束後に改めて開催を検討しておりますが、現時点では日程を決定することが難しい為、既にお持ちのチケットについては全て払い戻しとさせていただきます。

1日も早い事態の鎮静化と、皆様の安全を心よりお祈り申し上げます。



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