moonriders 45th anniversary "THE SUPER MOON" @ EX THEATER ROPPONGI

当日ライブを見終えた後、帰りがけの電車の中で興奮気味に打ったツイートがこれ。
moonriders 45周年 "THE SUPER MOON"!とんでもないものを観てしまった…!!!!ムーンライダーズ、45周年の今がいちばん色っぽくて美しくてそして新しかった、確実に。細胞の隅々まで超濃密にムーンライダーズで、そして濃密なまま激しい勢いで拡がり狂ってた…!信じられない…素晴らしすぎた…

本当に「とんでもないものを観てしまった、信じられない」という思いだった。それはその後、配信(7/2~)されたものを観ても再度深々とそう思う。

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moonriders 45th anniversary "THE SUPER MOON"
2021.06.12(土)
open17:00 start18:00
EX THEATER ROPPONGI

出演者: ムーンライダーズ

ゲスト:
オータコージ
岩崎なおみ
佐藤優介
澤部渡
東涼太
湯浅佳代子

席種/料金:プレミアムーンシート (お土産付) 16,000円、指定8,800円



最近ムーンライダーズのライブは中野サンプラザが多かったので間違えて中野に行きそうだったけれど、今回は初めての会場、EX THEATER ROPPONGI。ライダーズって新しい会場けっこう好きよね、彼らのこういう好奇心が止まない感じ、好きよ。とはいえ、このコロナ禍でライブを取り巻く状況は不透明で、開催までには苦労が絶えなかっただろうなとも想像する。不慮の骨折のために長く入院・リハビリ中だと聞いていた岡田徹さんがなんとライブ前日に退院して、可能ならば無理がない形で参加が叶うかもというアナウンスもあった。そこはどうかどうか無理のないように、と願いつつ、何より今回、楽しみにもほどがあるメンバーがゲストミュージシャンとして入るライブで、インスタでも賑やかなリハの様子が伝わってきていたので、いやがおうにも気持ちは盛り上がる。いったいどうなるんだろう?

EX THEATER ROPPONGI はどーんと横に長い会場で、赤い緞帳の下りたステージはかなり広そうに見えた。開演時間になり、幕が開くのかと思いきや、幕は下りたままでその向こうから音が聞こえてくる。なんか「お酒はダメ」とか「おしゃべりは控えて」みたいな注意事項を歌ってるっぽい(笑)。(「影アナ~」と歌ってたんだということは配信を視聴してからわかった!)2009年ロフトのときの開演前楽屋トーク思い出す(笑)。

いよいよ幕が開くとそこには横並びで、くじらさん、慶一さん、良明さん、博文さん。アコースティックセットで、「無職の男のホットドッグ」。とにかくメンバーの演奏が元気で快活。もしかして今日のムーンライダーズ、絶好調の予感!?次の曲から夏秋さんが入り、列の右端に電子パーカッションで加わる。私の席からは見えにくいだろうとあきらめていたのに、このアコースティックセットのあいだわりと近くに見えて、私、歓喜!

ここから先、少しずつゲストミュージシャンが入れ替わりながら披露された曲たちが、どれもハッとするよさだった。湯浅さんのトロンボーンが入った「9月の海はクラゲの海」。東さんのソプラノサックス、優介さんのキーボード、くじらさんのマンドリンが夢のようなイントロを紡ぐ「BTOF」。ギターとドラムとサウンドエフェクトが乾いた風を巻き起こしていた「Masque-Rider」。不敵な逞しさにあふれた「弱気な不良Part-2」…。個性的なゲストミュージシャンが加わって音の地平は拡がり、なおかつ意外なほどそれはムーンライダーズで。

それにしてもメンバーのフレッシュな様子!博文さんの歌はみずみずしく、良明さんが6本の弦で紡ぐ音は繊細かつフリーキーで、ホーン隊に食い入るように絡んでいくくじらさんのヴァイオリンやトランペットは活力に溢れ、この全体を仕掛けているに違いない慶一さんの音楽的企てはゴムまりのように衰えを知らない。とりわけ、大病を経たくじらさんが、ここにきて声も楽器も力強く、誰よりも元気で驚くほどだった。不死鳥かな!?

スカート澤部さんが入って演奏された「夢が見れる機械が欲しい」が凄まじかった。優介さんのピアノの旋律は岡田さんの叙情がのりうつったかのよう。そして、くじらさん澤部さん慶一さんの声が重なるボーカルで、すっかりやられてしまった。こんなにも濃密に「ムーンライダーズ」のまま拡がれるんだろうか?と信じられない思い。ゲストに「参加してもらう」とか「手伝ってもらう」とかじゃなく、ゲストミュージシャンを飲みこんで濃密にムーンライダーズのまま、細胞がぐんぐんと増殖して生きる怪物を見ているような思いがした。ムーンライダーズって…!

次の曲は間違いなく、このライブのひとつのクライマックスだった。一度捌けていたオータさんがドラムに戻り、ホーン隊も位置し、なおみちさんが澤部さんの隣に入り、夏秋さんが初めて前列のパーカッションから後列センターのドラムに移動し、堂々のフルバンドが完成。慶一さんの“I love you…”のつぶやきから優介さんのピアノが転がり、くじらさんのヴァイオリンが空気を切り裂き、「夏の日のオーガズム」!!!!私のライブ直後のスマホのメモに「スーパーみ。ドントラみ。」と感想の走り書きが残っているのだけど、1986年に日本青年館のドントラライブで初めてムーンライダーズをナマで見て、内側から破裂するように『人生が変わる!』と思った、あのときの衝撃のままのムーンライダーズがそこにいた!鳥肌がたち、もう何かわけのわからない感情に射抜かれてその場に動けず打ちつけられていた。今、私、世界で一番美しいものを見てる、と思った。ムーンライダーズ、45周年にしてこんなにも狂い咲いてる。なんということ。

「春のナヌーク」もスリリングでゴージャスですばらしかった。なおみちさんと博文さんのベース合戦の楽しさ。夏秋さんとオータさんのダブルドラムの機動力。挑発し収斂していくホーンの響き。良明さんの虹のようにおおらかなボーカル。それを追う色鮮やかなコーラス。聴いているオーディエンスの私たちにとってもだけど、何よりもステージ上で演奏しているミュージシャンたちにとって、ここは、この世ではないどこか、桃源郷のような場所に感じられるのではないかなと思った。夢のようだ。すばらしすぎる。

今回、澤部さんのボーカルが白眉だった。澤部さんの声で歌われることでムーンライダーズのメロディーの魅力がくっきり浮かび上がって、ますますキラキラと輝きを増していたと思う。夏秋さんとオータさんのダブルドラムもとてもよかった。夏秋さんがリハの様子を伝えるツイートで「オータくんはかしぶちさんとも俺とも芸風が違いすぎて(笑)」と言ってたけど、のびのびと叩いているオータさんが爽快だったし、オータさんをセンターから気遣いつついっそういきいきとダブルドラムのスリルを楽しんでいる夏秋さんもとても素敵だった。何より、ふたりのことをニヤニヤしながらがっちり見守ってるかしぶちさんの姿もありありと感じられて。かしぶちさんは今のムーンライダーズのステージで、めちゃめちゃ存在感あるんだよな(笑)!あんなにキュートなのにがっつりオトコマエななおみちさんの存在はステージいち頼もしいと思えた。湯浅さんと東さんのホーンは、ムーンライダーズの音楽にしなやかに入り込んで、内側から音を躍動させ光らせていた。

そして佐藤優介さん。彼の存在なくして今回のライブは成り立たなかっただろうと思う。件のライブ後のメモに私「岡田さんのキーボードは背骨」とも走り書きしてるんだけど、これ、優介さんのピアノやキーボードを聴いて、岡田さんの音ってやっぱりムーンライダーズの背骨だなとつくづく思い、優介さんがそれをすべて担ってくれたと感じて書いた言葉。優介さんが体現してくれた岡田さんの音があって、"SUPER MOON"があんなにも眩しく輝けた。しかもライブ後に明かしてくれたところでは、優介さんが弾いていたのは岡田さんの愛機だったと…。泣く。

この、ムーンライダーズ以上にムーンライダーズな若きメンバーを得て次々と演奏された曲たち、どれも目を見張るような新鮮さ美しさだったな…。ボ・ディドリービートでドスドス走る馬車みたいだった「酔いどれダンスミュージック」、荘厳な交響曲のように聞こえた「涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない」、それからたとえば「現代の晩年」、今回の発見だったけれど、澤部さんと慶一さんのボーカルが重なるの、ちょっと震えるような美しさがあった。ふたりの声とても相性がいいよね。「HAPPY/BLUE '95」はフレッシュではつらつとしていて、ほんとに45周年のバンドかなと目を疑うようだった。本編の締めくくりは「トラベシア」。かしぶち曲を、くじらさん、慶一さん、良明さん、博文さん、と歌い継ぐ。抑えめの演奏からどうしようもなくあふれる熱っぽさが胸に深く刺さる。


アンコールの拍手。ライブのはじめのほうで慶一さんが「今日もお客さんの拍手が励みになります」と言ってくれた、力のこもった私たちの拍手が、メンバーを再びステージに呼ぶ。4人+夏秋さんで、「誰も聴いたことのない曲。新曲です」と、博文詞・岡田曲だという「岸辺のダンス」を。

そして…おなじみの「さよならは夜明けの夢に」のイントロとともに、下手の幕が開き…。キーボードが!岡田徹さんが!岡田さんおかえりなさい!いつもと変わらぬスタイルで、遠目だけど思ったより元気そう!!!!鍵盤を弾きながらときどき涙を拭う姿に、こちらも思わず涙があふれる。曲のあとのMCでもとっても元気そうで心からホッとした。みんなが涙涙でいるところに「2回めの接種も終わり…」なんて飄々と言ってほっこり笑わせるところがやっぱりあいかわらずチャーミングな岡田さん。そして今日は「我が人生最良の日です」と。いやもう!岡田さんが戻ってきてメンバー揃ったムーンライダーズが観られた45周年!世界にとって最良の日!

ラストは(退院したばっかりなのに)岡田さん座ったままショルキーしょって(笑)!全員で威勢よく「冷えたビールがないなんて」!音圧!勢い!厚み!"THE SUPER MOON"サイコー!!!!


いいバンドだなあ。このバンドでツアーに出てほしいと思った。年の離れたゲストミュージシャンたちがムーンライダーズ以上にムーンライダーズなのすごかった。冒頭のツイートに書いたように、ムーンライダーズという細胞が、濃密なまますごい勢いで外側に(メンバーの外側のミュージシャンたちにまで)拡がり出ているようにように見えて、信じられない光景だと思った。ステージ上のメンバーの指先ひとつまで、すべてがムーンライダーズだったから。


当日の夜のツイートに、たくさんの人がいいねしてくれた。
ムーンライダーズの何がすばらしいって、45年バンド続けてることでも日本最古のロックバンドなことでもなく、いつも「今」がいちばん新しいこと!なんだよなー!45年前から知ってても、もし今日知ったとしても、人生最大の熱量で「ライダーズ最高」って言える!今目の前のメンバーが最高にカッコイイ!

みんな、そう思うよね。今のムーンライダーズが最高って。

いわゆる「周年ライブ」のイメージをはるかに超えて、この45年を振り返るどころかとんでもなく進化した姿を見せつけてきた彼ら。視線を向けるといつでも予想より断然先に行っていて二度見させられるムーンライダーズというバンド。45年経ってもその前傾姿勢が止まらない。カッコよすぎるだろ。


あまりにも素晴らしいこんなライブを届けてくれたムーンライダーズとゲストミュージシャンのみなさん、(この記事ではそこまで言及しきれなかったけれど)ライブの芯を捉えてクオリティの高い映像に残してくれた映像制作チームのみなさん、数々の困難をひとつひとつクリアして45周年ライブの実現までこぎつけ、美しいステージを創りあげてくれたマネージャー様をはじめとしたスタッフの方々。心から感謝です。ありがとうございました。


さああああムーンライダーズ、次も楽しみだ!!!!

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(スーパームーンライダーズと世界中のムーンライダーズファンに乾杯!)

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